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Vol.12 本来の自分に出会うまで 2007.11.7update
 

信じられません・・・今年も残すところあと2ヶ月となりました。
年々、時間経過のスピードが上がっているような気が致しますが、
皆さんはどう思われますか?
これが現代社会のスピード感なのでしょうか。
情報のスピード、移動手段のスピード、何かを達成しようとするときもスピードを重視することが増えているような気が致します。
季節もすっかり秋から初冬に移り変わりヴァータの季節になってきました。ヴァータは「軽・動・速」というスピード感の性質を持っていますが、実はそのスピード感にとても弱いタイプです。
周りが気ぜわしく忙しいときこそ、その流れから一歩退いたところで傍観する、くらいののんびり感をもって暮らしていきたいものです。

さて、今日は初めに、皆さんに質問をしたいと思います。

「皆さん、幸せになりたいですか?」
はい・・・。 答えはほぼ100%「YES」でしょうね。
  (NOの方、いらっしゃいませんよね!?)

「ではあなたにとっての幸せってなんでしょうか?」
きっといろいろな「幸せ観」が出てくるでしょう!
本当に聞いてみたいです!

さて、このコラムを読んでくださっている皆さんならば、もうお分かりだと思います。
皆さんが思い浮かべた「幸せ」な状態、そのベースにはいったい何があるでしょうか?

「幸せな私」の土台となるもの、それはやはり「健康な私」ではないでしょうか?先ほど思い浮かべた「幸せな私」が、もしなんらかの病気を患っていたら・・・
単純な例えとなりますが、裕福で恵まれた環境で何不自由なく暮らしていたとしても健康でなければどうでしょう・・・
体調がいつも優れず鬱々とした状態で暮らしていたら、それは幸せといえますか?

このコラムでご紹介してきたすべての内容は、アーユルヴェーダが教える健康観に基づいています。
アーユルヴェーダがいう健康とは、「病気ではない」という消極的なものではありません。毎日が清々しい目覚めで始まり、朝の自然な排便があり、食事が美味しく、仕事への熱意もあり、そして楽しく遊び、健やかな眠りがある。こういう状態を「健康」としているのが、アーユルヴェーダの考えです。

■ プラクリティとヴィクリティ
私たちには、持って生まれたドーシャのバランスというものがあります。これは、受精の瞬間に決まり、一生変わることのない両親から受け継いだ体質、個性のことです。
この生まれ持ったドーシャバランス、体質のことをアーユルヴェーダでは 「プラクリティ」と呼び、「本来の自分」であると考えます。
そして私たちは、この状態に近づき、維持できているとき「真の健康」を得ると考えられています。

しかし残念ながら、ほとんどすべての人は生まれてから今日までの暮らしの中で、ドーシャのバランスを乱す暮らし方をしているものです。このバランスが崩れている状態、プラクリティから遠ざかっている状態を「ヴィクリティ」と呼びます。

今までご紹介してきた、アーマの蓄積による不調だったり、大きな病につながっていく状態のことです。
そしてそのアンバランスな状態(ヴィクリティ)が長く続くことで、その状態の自分が、本来の自分だと思い込んでしまっていることがよくあるのです。
例えば、生まれ持った体質がヴァータ・ピッタの方が、日々のストレスからお酒を飲み甘いものばかり食べているとします。
過度のアルコールも甘いものも、カパを増やす要素です。
本来一番低いドーシャであるカパが乱れ、一番高くなると、ヴァータ体質のほっそりとした体型ではなく、太りやすいぽっちゃり体型になったり、本来は活動的で社交的な性格をもつピッタの性質が影を潜め、お尻に根が生えたような停滞した感じがしてきます。
まさに、ヴィクリティが、プラクリティ(本来の自分)を覆い隠してしまっている状態ですね。

そしてもうひとつ大切な考えがあります。
それは私たち人類をはじめ、全ての存在に、あまねく在る「知性」についてです。
例えば、切り傷をすばやく止血し、かさぶたを作り、皮膚を再生し、
傷口を消していく・・・この完全なるプロセス、自己治癒力をいったい誰が真似できるでしょうか?
受精卵が細胞分裂を繰り返し、母胎の中で成長を続け、誕生するプロセス。これはいったい誰が、何が支えてくれている現象なのでしょうか?
アーユルヴェーダではこの「知性」について、
「命を含む、この世の全ての現象を調和と秩序を保ちながら育む自然界、宇宙に存在する力」であると定義しています。

そうです、こうした私たちが本来もっている「知性」がいちばん発揮されるのが、ドーシャの乱れがないプラクリティの時だと、アーユルヴェーダでは考えているのです。
そして、知性に従って生きていれば、私たちはずっと健康で、そして真の幸せに近づいていくことができるのです。
皆さん、ご自分の「知性」に従って生きてみたいとは思いませんか?

■知性の輝きを体感しよう
これは決して難しいことではありません。
実はほんの些細なことでも、十分に体感できることがあるのです。

例えば、朝、目覚めてからすぐに飲む白湯1杯が、あなたに知性を感じさせてくれます。
朝のコーヒーの習慣を、明日から白湯に変えてみましょう。
そして、日中も冷たい飲み物を控え、レストランやカフェでも、
「お湯をいただけますか」と言ってみましょう。
最初は味気なく、退屈に感じるかもしれません。 しかし、1週間、
2週間と続けていくと、もう冷たい飲み物は欲しくなくなります。
なぜなら、冷たい飲み物が与えてくれる一瞬の喉越しや清涼感に比べ、白湯の優しい喉越しと、繊細な甘さを感じるようになり、実際にアーマが排出され、日に日に軽さを感じるようになるから。
そして肩こりや頭痛がなくなったという小さな変化に気づき、幸せを体験するからです。

朝の排便はどうでしょう? 白湯を飲んだ後、時間を決めてトイレに座る習慣をつけてみましょう。
本来、寝ている時間に、身体の知性は休みなく朝の排泄に向けて活動を続けているのです。下剤や力みに頼らない自然な排泄は、アーマの蓄積を防ぐための大切な行為です。 
毎日規則正しくトイレに座る習慣は、しだいにヴァータのバランスを調え、力まずとも排泄できるようになってきます。
この自然な排泄を体験してみてください。身体の軽やかさが違います。こうして、また小さな幸せに出会えるのです。

食事はいかがですか?
ゆっくりと味わって、喜びを感じながら食事をしていますか?
1口30回以上噛んでいますか? 1回の食事に六味が含まれているように意識していますか?
毎日の忙しい生活の中で、すべてを完璧に行うことは、そう簡単ではありません。ですから、できるところからやっていきましょう。
お勧めしたいのはやはり噛むことです。 
これは、何を食べようとも実践できるからです。
そして、ゆっくりと噛みながら食事を摂ると、まず丁寧に味わうようになります。そして自然と少食になります。
すると、消化への負担も減り、アーマの蓄積を防ぐことができます。つまり、健康に近づくということ。
具体的には、体重が適正なところまで落ちたり、疲れにくい身体になったり、免疫機能も上がることで、風邪などを引きにくくなります。
 
さらに、知性の曇りの顕著な例である、食べ過ぎを防ぐことにつながります。
ヴァータが乱れていると、疲労や緊張から気ぜわしくなり、食後のお菓子や間食を食べる手が止まらなくなります。
ピッタが乱れていると、目で食事を摂りがちです。あれも美味しそう、これも美味しそうと、やはり食べ過ぎます。
カパが乱れると、冷たい飲み物だけでも体重が増加します。
「食べたい」と思って食べ、食べた直後に「食べなければよかった」
と後悔を感じるような食事は、矛盾に満ちた幸福です。 
真の幸福は、腹八分目にあるようですね。

いずれにせよ、知性の輝きは、ほんの些細な行動から始まります。
このコラムのvol.2-4でご紹介した、朝・昼・夜の過ごし方をぜひもう一度お読みになってみてください。
ご自分のプラクリティに戻れるヒントがたくさんあるはずですよ!

■アーユルヴェーダとYOGA
現代の私たちは、皆、間違いなくアーマを持っています。 
それは、摂り入れた食事が上手に消化、代謝されずに溜まっていったボディリーアーマであり、日々の精神的ストレスや、ネガティブな発想、他人への苛立ち、嫌悪などのメンタルアーマです。
ドーシャが乱れるとアーマを溜め、アーマが溜まるとさらにドーシャを乱します。

このコラムでも再三にわたり取り上げてきました「ドーシャの乱れ」。
少し厳しい言い方になるかもしれませんが、アーユルヴェーダをいくら勉強しても、専門書を何冊読んでも、それは言葉での理解に留まります。
大切なことは、その知識を体感することで、そのときはじめて本当の智慧となるのです。それには日頃から、ご自身の心と身体の在り方を繊細に観察していくことが不可欠です。
そして日々の暮らし方と心身の変化に目を向けてあげること。
意識をそこにフォーカスすることで、ドーシャというエネルギーを体感し、バランスが取れている状態なのか、アンバランスな状態なのか、
その乱れはどこに現れているのか、またこの乱れの原因は、昨日の夕食なのか、同僚との意見の相違なのか、彼氏とのケンカなのか、ならば、今日はどう過ごせばこの乱れが調うのか・・・
そういった考えが持てるようになると、アーユルヴェーダの智慧が生活の中にイキイキと息づいてくるのではないでしょうか?

それには、YOGAの実践がとても相応しいことだと思えるのです。
YOGAのポーズは、身体の隅々にまで、繊細に意識を向けていきます。そして、内なる自分の源へ、丁寧に語りかけていきます。
これは、日常生活の中ではつい無視してしまいがちな、心や身体の在り方、その変化に丁寧に目を向けてあげることなのです。
内なる源、そこには静かな「本来の自分」がいます。 
そこにアクセスするのが、YOGAのポーズであり瞑想です。

また、YOGAを実践していくと、余計なことに惑わされない精神的な強さも身についてきます。
これは、メンタルアーマの蓄積を防ぐ大変重要なポイントです。
同じ事柄でも、ポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるかで、その出来事は正反対の性質を持ちます。
過ぎ去ったことを根に持ちイライラするよりは、「まぁいいかぁ」と前向きに手放してあげましょう。
過去に執着したり、起きてもいない未来を憂うことは、心を疲弊させるだけです。

私たちの心と身体は、実は大変雄弁で正直者です。
そのメッセージに気づいてあげられるかどうかは、私たちの意識次第です。肩こり、頭痛、便秘、めまいや発汗、ニキビや発疹、イライラや悲しみ、焦りや嫉妬、そして憂鬱感・・・。
すべてが、私たちの内なるところからのメッセージです。
そしてこのメッセージに気づいてあげられるのは、他でもないご自分だけなのです。
どうぞYOGAを通して、アーユルヴェーダでいうところの知性を輝かせてください。 そして「本来に自分」に出会ってみてください。それが、誰から与えられるでもない、飾り立てる必要もない、真の幸せにつながることではないでしょうか。

さて、1年間にわたってご紹介してきた「暮らしの中にアーユルヴェーダを」のコラムも、今回をもって最終回とさせていただきます。
つたない文章ではありましたが、大変多くの皆さまにご愛読いただきまして心より御礼申し上げます。
ひとりでも多くの方が、インドの伝承医学であるアーユルヴェーダに興味をお持ちになり、実践し、健康と幸せを手に入れられますように・・・
Om shanti.

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2007.11.7 update
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2007.10.9 update
Vol.11 女性の健康
     -更年期を健やかに-
2007.9.6 update
Vol.10 女性の健康-PMSについて-
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Vol.9 女性の健康-生理について-
2007.7.9 update
Vol.8 アーユルヴェーダの
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2007.6.8 update
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2007.5.9 update
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Vol.4 夜の過ごし方
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2006.12.4 update
Vol.1アーユルヴェーダで健康に!
 
 
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